5.税金が安く福祉充実の州へ人口移動
メディケイドの対象者には医療費ばかりでなく、住宅から食料品にいたるまで政府から提供される。その家の大きさは4LDKの広さで、さしずめ東京だったら月額50万円はする代物。子供が生まれたら離婚届けを出し、まずは政府から提供される住居を手に入れる。そして離婚しているはずの夫と同居しているといった家族は幾らでもいる。これら費用の33パーセントは州民から集めた税金によって賄われているわけで、勤勉な働き手は他州へ逃げ出している。そのため州財政の格差は大きく広がっているのが実態だ。
イリノイ州は福祉の充実した州として有名だが、そのため他州から福祉を求めて集まるメディケイド人口の流入は増加の一途をたどり、州財政は破産寸前まで追い込まれた。地方税や州税を増やすといっても限度があるし、正直なところ大きな負担を強いられる若者の勤労意欲は低下した。そこで、州民たちは余りにも行き過ぎた社会福祉費を全米の平均まで戻すため、タカ派の知事候補を自らの手で擁立した。選挙によって選ばれた新知事は、社会補償予算の大幅な削減など思い切った改革を行った。その結果、イリノイ州からは低所得者の大量流出が始まり、北に隣接するウィスコンスン州ではメディケイドの受け入れに大慌てとなっている。ところで財政の建て直しに大鉈を振るったイリノイ州では、福祉の切り捨てに不満を持つ人たちが賛成議員を拳銃で狙撃するほどの騒ぎが発生した。