6.地域医療を担うホームドクター制度
医療技術の先進国といわれるアメリカの医療費は、わずか1パーセントの病人によって30パーセントが使われている。そのうち高齢者が50パーセントで黒人が16パーセントを占めている。なかでも生活の貧しい人たちは健康管理の悪さから、一度病気にかかると多額の医療費を必要とする。そこで1969年には国民の一次医療を担うホームドクター制度が導入された。主として開業医がその任に当たるが、医者は絶えず地域住民の健康管理を行い、必要に応じて病院などを紹介する。ホームドクター制度は大病院中心の医療からコミュニティー(地域社会)ごとの医療整備と健康管理を開業医が行う主旨からだったと記憶している。
この新しい取り組みに参加する医師に対しては、医療サービスフィーの5パーセント割り増しと迅速なレセプト償還を政府は約束した。また登録医師の名簿を広く配布するなどして、開業医の大切さを大々的に宣伝することを行った。このようなホームドクターを一般にプライマリケア・ドクターと呼んでいる。アメリカでは具合が悪くなると、まずはOTCを買って治療にはいるのが一般的だ。その比率が70パーセントというから、医療費がいかに高いか理解できよう。カゼや腹痛など軽い病気でホームドクターに電話すると、ほとんどの医者はOTCの銘柄を指名する。それでも良くならない場合は、まず一次医療を担当するホームドクターに診てもらい、軽い症状なら注射などで治してしまう。
医療分業になっているため、緊急時を除き病院に直接行くようなことはまずない。ホームドクターは何人かで同じメディカルオフィースを共有しているのがほとんどで、単独で開業している医者は少ない。医療機関は大きく開業医、病院、ナーシングホーム、薬局に分かれている。一般家庭では、かかりつけとなる医師(ホームドクター)を決めていて、家族全員の健康管理をゆだねる方法が取られている。通常、ホームドクターはいくつかの病院と個々に契約を結んでおり、自分の患者が入院や特殊な検査を必要とする場合、その所属する病院で患者の治療を行なっている。病院は施設や器具器械を提供する場所と考えたら理解しやすい。ホームドクターでは治療の出来ない重度の病気や手術については密接な連携のもとに入院して治療にあたる。