9.米国の病院における医療サービス
病院といっても、わが国の大学病院と比べれば比較にならないほど小規模なもので、大きく一般病棟、最先端の医療を行う高次機能病棟、緩和ケア病棟の三ブロックに分かれている。外科手術室は入り口に近い1階にあるのが一般的で、重症の患者は四六時中専門医によってケアされる高次機能病棟に入れられる。症状が良くなれば患者は一般病棟へ、さらに社会生活ができる段階になれば緩和ケア病棟へと移される。そこは医療コストの低い看護師や無料奉仕の地域ボランティアによって、患者の手厚いケアが行われている。
病院は地域住民の基金によって設立されたものが多く、そのコミュニティで金持ちの人ほど沢山の寄付金を出している。その理由は今まで地域住民から儲けた金をコミュニティに還元し、助け合うことが常識とされる社会だからでもある。
この考え方は長いこと官僚国家で培われた日本人に理解しがたい。年貢を納めるかわりに役人が国民を守ってきた管理国家に対して、アメリカは真の自由を求めた人々が、過酷な土地でお互いに助け合いながら生きてきた歴史の違いがある。外圧による規制緩和が進行しているが、狩猟民族と農耕民族のたどってきた過程そのものを理解しなければ良い結果は生まれない。