12.民間活力が誕生させたHMO医療組織
とどまるところを知らない医療費を抑制するため、ニクソン大統領は1973年に「マネージドケア・プラン」(HMO Act of 1973)を実施した。これはコストの低い医療を行ってきたHMO(民間集団医療組織)に注目し、低金利の助成金を出して育成をはかるものであった。また最低賃金法の対象となる企業はHMOを医療保険の選択肢に加えなければならなくなった。
HMOといえば、オークランドに本部を持つカイザー・パーマネンテが有名だが、会員となった被保険者からの保険料によって運営されている。カイザーの創業は1942年のことで、現在780万人の加入者をもち1万人の医師と契約している。その運営方法は加入者から集められた保険料を人頭割りで契約した医療機関に配布する。そのかわり会員が病気やケガなどをしたときは包括的に請け負い、医療サービスを現物給付というかたちで供給している。会員はあっちこっちの病院をタライ回しされることなく、ホテル並の快適な病室で治療を受けるなどの特典がある。食事も患者の好みに合わせたグルメ料理が用意されているという。
医師の訪問診療については1回あたり5〜10ドルの負担を加入者に求めている。非営利団体なので、残った保険料は会員と医療機関に再配分される。このような性格をもつHMO組織では、すべての関係者が過度の医療を抑制するばかりでなく、むしろ協力してコストを引き下げる努力が行われている。