24.バウチャーを配給するブッシュプラン
初代ジョージ・ブッシュ大統領は膨れ上がるメディケイドの医療費を抑制するため、医療を国家管理におくことを考えた。この方法は医療費を連邦政府が管理するやり方で、カナダの医療制度にHMOの利点を取り入れた考え方だ。バウチャーシステムという新しい発想がこれで、福祉の恩恵を被る低所得者の人々に医療コスト意識を持たせることにあった。栄養状態が悪く定期検診を受けていない貧困者がいったん病気にかかると、その医療費は老人医療費の6倍にも上るし、メディケイドの医療はメディケアと違い医療費に制限枠がないことも理由の一つであった。
バウチャーシステムとは医療サービスが受けられるクーポンシステムで、メディケイド対象者に非課税のバウチャーが給付される。配布されるバウチャーは受給者の条件によって異なるが、たとえば子供のいる4人家族では3,750ドル程度の支給が検討された。
家族が病気やケガで病院に掛かった場合、額面相当金額までの医療サービスを受けることが出来る。サービスを提供した医療機関ではこのバウチャーを州政府に提出してお金を償還してもらう。
このブッシュプランは、給付内容を特定せずに一定の金額だけを補償する制度として評価されたが、拡大解釈が進む心配から成立を見なかった。後になって評価されたことだが、この法案は病院の不正請求を防止するのに効果的な方法だったといわれている。
国民にとって、不正請求だけで済むならまだ許せるが、病院経営を維持するために不必要な手術が行われていることが問題になっている。ちかごろ、子宮摘出手術の内80パーセントが不必要だったという報告が出され、国民はこの事実に唖然とした。女性機能を奪われた人たちにしてみれば、取り返しのつかない悔しさだけが残る。そのため、果たして手術が必要かどうかを複数の医療機関で事前に検査できるように変更された。現在、3カ所までの病院検査費用は全額保険でカバーされている。支払側にとっては検査費用を負担してもコストは低くおさまるのである。
国民皆保険制度の導入は大統領選においてクリントンの掲げた最大の目玉であった。すべからずタクスフォースをナンシー夫人にゆだね計画より5カ月ほど遅れて発表された。この医療改革案は1935年に成立した社会保障法に次ぐ偉大なる進歩と国民から高い評価を受けた。
歴史的演説は1993年11月22日にテレビを通じ50分間にわたって行われたが、渡された原稿の一部が間違っていたために差し替えられるというハプニングの一幕もあった。が、発言途中で気がついたクリントンはアドリブを交えながら見事に改革の主旨を発表した。