28.処方せんフィーは2ドル50セント
キーンさんは41歳になる愛想のよい薬剤師で、顧客には気楽に話しかけながら、狭い薬品棚の間をコマネズミのように動き回わっている。そんな時間の合間をぬいながら、薬局のおかれている現状と問題点について話をしてくれた。
「お客様の中には、薬剤師が医者の代理に値すると思っている人たちが沢山います。話題になっている新薬バイアグラについてアドバイスを求めたり、また単に冷やかし半分に来店される人もいます。最近では店の入り口にギフト商品を並べたり、ペットの処方せんを扱ったりして、利益の落ち込みをカバーしなければならなくなりました。薬剤師は求められている専門性以上に、店員を演じることを強制されているのです。そんな多忙のなかで、マネージドケアによる多くのプレッシャーが、薬剤師に間違いを増大させる危険性を心配するのです」と、キーンさんは薬局の置かれている問題点を指摘する。
マネージドケアでは規定書に基づいて医師を説得し、より安い薬を代用させていることも問題だと言う。「マネージドケアの加入者は、処方せん一枚につき約10ドルの免責分を支払います。保険業者は自己負担分を控除した医薬品原価に、2ドル50セントの手数料を加算して薬剤師に返済します。そのため12ドル以上の処方せんでは、給料や家賃など、コストの吸収ができません」と、大都市で経営する薬局の問題点を指摘する。
マーティン.J.キーンさんが試算したニュートン・ティンマーマン薬局の経営指標である。これには、プレマリンとジスロマックスを例に挙げて試算されている。赤字になる最大の理由は、ニューヨークの家賃と人件費の高さにある。そのほか事業税や保険料も他州と比べて割高なことも原因している。にも関わらず、全国一律に計算されるマネージドケアの制度に問題があって、都市部の病院経営も同じように苦境に追い込まれているのが実状である。
巨大なチェン店ではバイイングパワーにものを言わせ、メーカーから直接購入している。その分、問屋から仕入れている独立薬局より利幅がとれるのだ。さらなる薬剤師への向かい風は、マネージドケアが独自に始めた処方せんのメールオーダーにある。加入者は少しでも安価な方法を求める傾向にあるし、勿論マネージドケアでない人たちも安いメールオーダーに移行している。マネージドケアでは雇用者、労働組合、他の医療保険に加入する人たちに対しても、医療組織力を駆使して処方せん価格を下げようとしている。
マネージドケアのスポークスマンはこの点について、「私たちは顧客のための市場で自由に競争を行っていきます。米国民は私達のノウハウに基づく高品質な医療を選ぶはずだし、企画化された医薬品を提供することによってコストを低減させ、品質を高めながら競争を行うのです」と述べている。