34.イーライリリー社のリリー・アンサーズ・カード
イーライリリー・アンド・カンパニーでもメディケア対象者である高齢者と障害者を支援するための「リリー・アンサーズ・プログラム」を提供している。これはメディケア加入者で、処方せん薬の購入に保険が適用されない高齢者を対象に「リリー・アンサーズ・カード」を発行し、イーライリリー社のすべての処方せん薬につき、調剤限度30日分の処方せん薬に対して、一律12ドルの援助を行うもの。このサービスプログラムによって、患者は月額平均52ドル、年間にして約600ドルを節減できる。
このリリー・アンサーズ・プログラムは、米高齢者の2人に1人が患っているといわれる慢性病の骨粗鬆症、うつ病、糖尿病、スキゾフレニア(統合失調症)などに対して、イーライリリー社の処方せん薬を安価にて受けることが可能になる。これらの処方せん薬には、骨粗しょう症治療薬「エビスタ」、糖尿病治療薬「ヒューマリン」および「ヒューマログ」、そしてうつ病治療薬「プロザック」、スキゾフレニア治療薬「ジプレキサ」などの汎用薬がある。処方せん薬の保険が適用されない、年間の個人収入が18,000ドル以下、もしくは所帯収入が 24,000ドル以下の高齢者がリリー・アンサーズ・プログラムの対象者で、この支援プログラムは500万人以上の米国民に対して、実質的な救済を迅速に提供するプログラムといえる。
「家族、介護者、地域社会、そして企業は、多くの高齢者がさらなる援助を必要としていることを認識しています。革新的な医薬品を開発することは私たちの使命ですが、これら革新的な医薬品が本当に価値を発揮するには、それを必要とする人が使用できる状況になければなりません。私たちは、すべての高齢者に幅広い処方せん薬を提供するような新メディケア法が制定されることを望み、期待しています。法律が制定・施行されるまでの間、処方せん薬を必要としている人への支援を提供するため、私たちは今行動を起こすことを決断しました」と、イーライリリー・アンド・カンパニーのトーレルCEOはコメントしている。
イーライリリー・アンド・カンパニーでは年間2億ドル以上の製品を、37万人を超える高齢者と非保険適用者に提供してきた。より長く健康で活動的な生活をおくるために、医薬品を必要としている高齢者に対する支援活動は、「ワンケア・ストリート」と名付けられた別働隊も活躍している。ワンケア・ストリートは、栄養指導、運動に関する推奨、代替治療方法・治療薬や、健康のための段階別活動指針などを備えた、自分のニーズにあった便利な情報源を構築するプログラムといえる。
「イーライリリー社は、貧しい高齢者が生命の維持に必要な医薬品を使用できるように支援を行うという、重要な一歩を踏み出しました。この革新的なアプローチは、我々が新メディケアを施行するまでの間、この重要な問題に取り組もうという企業の意志を表しています。我々はイーライリリーが行動を起してくれたことに感謝しています」と、米国連邦保健福祉省トミー・トンプソン長官は述べている。また米国糖尿病学会のジョン・H・グラハム理事長は「糖尿病を患っているわが国の低所得高齢者への支援を、世界で初めてインスリンを開発、製造したイーライリリー社が提供することは、非常にすばらしいことです。イーライリリー・アンド・カンパニーは、我々と共に糖尿病と戦いつづけてきた献身的なパートナーです。このプログラムは、イーライリリー社の継続的な努力が新たに具体化された例といえます」と、述べている。このようにアメリカの企業は国民から得た利益を自ら国民に還元するのが常識とされている。一方、米医療制度は、時代に適合した様々な施策のもとに、合理的な制度を躊躇なく試みようとしているのだ。