36.より手ごろな価格の医療を約束
米国の医療保険制度が抱える問題は4千万人を超える無保険者が存在することだ。その数総国民の15.6パーセントにも上る。現役世代では勤務先が医療保険を提供しているが、最新のデータによると失業の増加によって無保険者は増加傾向にある。勤務期間が短いために加入資格がない人は43パーセントで、勤務時間が短いために加入できない人が37パーセントと報告されている。だが、そのうち52パーセントの人は保険料が高すぎて支払能力がないからだと回答している。
そのため医療保険をより手ごろな価格のものにするために、ブッシュ大統領は急増する医療コストに対処し、より多くの国民が医療保険を利用できるようにする諸措置を提案している。ブッシュ大統領が成立させたメディケア処方せん薬法案の一部として、労働者は医療貯蓄口座(HSA)を利用できるようにしたいというのである。これは個人、配偶者、または扶養家族の医療費の支払いに使うことのできる、完全に移動可能な非課税の貯蓄口座である。
個人によるHSA(Health Saving Account)への拠出金は、税金の項目別控除を申請しない場合でも控除の対象となる。また雇用者による拠出額は、個人の課税所得とはならない。また非課税のHSA保険の一部として、高額医療費保障を購入する個人は、その保険料全額を税額から控除できることを提案している。この医療保険料の新たな控除制度は、項目別控除をしない納税者も利用することができ、雇用主を通じた医療保険に入っていない多数の米国民にとって、医療保険をより手ごろな価格にするものである。年収6万ドル未満の家族(故人の場合3万ドル未満)が医療保険を購入する場合、最大で年間3,000ドル(個人は1,000ドル)の税額控除を適用するとしている。無保険者による個人保険購入を支援すると同時に、需要の増加を通じて、医療保険料を下げていく狙いがある。
企業規模が小さければ、負担額の大きい雇用主提供医療保険はコストの安い最低のものになるし、従業員に提供しない割合も高い。しかし、複数の中小企業による医療保険の共同加入(AHP)を育成することによって、ブッシュ大統領は国民医療保険の充実を図りたいとしている。AHPを普及させることで加入者のプールが大きくなり、それぞれの企業が単独で医療保険を提供するよりも、保険料の負担が抑えられるというのだ。
再選を果たしたブッシュ大統領のこれからの使命は、救命とコスト節減に役立つ医療情報技術に関連する実証プロジェクトの予算を1億ドルに倍増することにある。また大統領は1人当たり最高1000ドル、1家族当たり最高3000ドルの還付可能な税額控除を定めることによって、低所得の労働者が医療保険を購入しやすくすることを議会に求めていく。
中小企業が団結して保険料の引き下げ交渉を行い、より多くの労働者に医療保険を提供できるようにするため、中小企業向け団体健康保険制度を議会が可決することを併せて要求していく。
今日、多数の米国民が医療保険に入っていない主な原因は、医療費の急上昇にある。ブッシュ、ケリー両陣営の国内経済政策で主な対立点となった医療改革では、ケリー氏が関連企業に厳しい政策を打ち出していただけに、医薬品などの関連業界はブッシュ米大統領の再選に胸をなで下ろしている。