38.医療費削減のしわ寄せは?
医療費の上昇はなぜ起きているのだろうか? それは、医者や病院が貪欲だからという訳ではなく、医療がめざましい進歩をとげているからだ。90年代医療費が安定化したと思われていたが、それは単にHMOへのシフトが起きたからにすぎない。しかし今日では多くのHMOがメディケアプログラムから撤退し、220万人がHMOから除外される事態が起きている。過去5年間でメディケア全体のコストは24パーセント増え、2001年には2380億ドルに達した。うち410億ドルは医者のサービスへの支払いだった。議会予算局は2006年には3100億ドルに達すると予測。メディケアの加入者の数は現在4000万人、2030年までにはその倍にまで達すると見込まれている。そのため連邦政府はメディケアの支払を前年比5.4パーセント削減。2005年までに医療サービスおのおのに支払われる額を17パーセント減らそうとしている。そのため医者の多くが、メディケアに加入する患者(65歳以上の高齢者)を拒否し始めている。メディケアからの支払いがあまりに少なく治療をすると赤字になるためである。現在医者全体のうち17パーセントが新しいメディケア患者の受け入れを拒否している。医者の数が足りず高齢化の進む地方では、医者の拒否により医療を受けられない高齢者が増えている。コロラド州では、メディケア加入者を受け入れてくれる医者を探すまでに、15人から18人の医者に電話したという苦情も上がっている。メディケイド(低所得者向け)はメディケアよりも少ない支払のため、メディケイド加入者を受け入れてくれる医者を見つけるには従来から難しいという。医療ミス訴訟に備えた保険(malpractice insurance)の保険料が高騰していることも、医療コスト上昇の大きな原因となっている。医療過誤訴訟が増加していることから、昨年では27パーセントも保険料をあげた保険会社が出ている。